暗号資産クレジットカードは、利用金額に応じて暗号資産(仮想通貨)の還元を受けられるなど、さまざまなメリットがあります。従来のクレジットカードとの違いを含めて、仕組みや使い方、メリット・デメリットや注意点を解説します。

「日本に暗号資産が使えるクレジットカードはあるの?」
「そもそも暗号資産(仮想通貨)クレジットカードってなに?」
2023年から日本でも徐々に使われていきそうな暗号資産クレジットーカード。
この記事を読むと、仕組みや使い方はもちろん、使用するメリットとデメリットに加えて特有の注意点まで分かります。
大切な3つのポイント
- 仕組み・使い方・メリット・デメリットは従来のクレジットカードとほぼ同じ
- 決済時から税金がかかるなど暗号資産クレジットカードならではの注意点がある
- ビットコインなど暗合資産が普及する将来に備えた資産運用の一貫として役立てる

日本の税金が安くなり、決済導入店が増えれば暗号資産クレカが欠かせない1枚になるので、ぜひ参考にしてください。
暗号資産(仮想通貨)クレジットカードとは?
暗号資産(仮想通貨)クレジットカードとは、保有する暗号資産を使っていつものお買い物ができるクレジットカードです。
暗号資産は英語でクリプトカレンシーと表記することから、クリプトカードや一部クリプトクレカとも呼ばれています。
呼び方について:暗号資産クレジットカードが普及していないため、仮想通貨クレジットカード、暗号資産クレカ、仮想通貨クレカ、クリプトカード、クリプトクレカなどが呼び名の候補です。
NYウォール街のある米国で普及し、ラテンアメリカと欧州で広がりを見せています。
世界最大級の取引所であったFTXが2023年からアジアに「FTX Visaカード」を提供する予定でした。
あいにく22年11月11日に破産法を申請しましたが、国際ブランドのVisaとMastercardは、ライセンスを申請した企業との間で暗号資産クレカを発行を続けていくでしょう。
暗号資産クレジットカードの仕組み
一般的なクレジットカードのお金の流れを知ることで、暗号資産クレジットカードの仕組みが簡単にわかります。
従来の仕組みと異なるのは、代金の日本円が暗号資産(仮想通貨)に変わる部分のみです。

例えば、クリプトカード提携先のレストランで10,000円ディナーをいただいたとします。
通常は、支払いに使う暗号資産を指定して、スマホのQRコード等で決済して完了となります。
その後、暗号資産を保管する取引所から、決済分の数量が差し引かれる流れです。
よって、いつも使っているクレカと全く同じ方法でクリプトカードを使用することができます。
クリプトカードの作り方も簡単で、暗号資産を保有する取引所で口座開設をしてビットコインなどの暗号資産を預け入れておくだけです。
クレジットカード発行会社への登録と同じく、必要事項を記入して申請するのみで、審査に合格したらご自宅にクリプトカードが郵送されます。
暗号資産クレジットカードとデビットカードの違い
上記の仕組みの通り、従来のデビットカードと大きな違いはなく、取引所に暗号資産を保有していない限り使用できないタイプが大半です。
暗合資産の特徴とメリットは、日本円などの法定通貨と異なり、ブロックチェーンによって決済処理が早く、入出金コストが安く済むことです※。
※決済の処理速度について:ビットコインは30分ほどかかりますが、リップルなどの決済の利便性を高める目的に特化した暗号資産は高速処理・激安コストを実現します。
よって、今までのクレジットカードのようにお支払いしてから1ヶ月後に引き落としをする期間を設ける必要性はありません。
仮に引き落とし期間を設けるとしたら、ユーザーがお金を工面することを考慮し、利便性を高める目的となります。
また、マネーロンダリグ防止の為にKYC(本人確認)は必須です。クレジットヒストリーとクレジットスコアもチェックされます。
暗号資産クレジットカード 12のメリット
暗号資産クレジットカードを所有することで、たくさんのメリットが受けられます。
- キャッシュバック報酬が暗号資産でもらえる
- サブスクを割引価格で利用できる
- クリプトファッションを先取りできる
- 現金がなくてもいつでも買い物できる
- 支払いにつかう暗号資産を選べる
- 手数料がかからないカードもある
- 日本円を引き出すATM手数料を節約できる
- 空港ラウンジを利用できる
- 関連施設等の割引や優待がある
- 旅行傷害保険やショッピング保険がつく
- クレジットヒストリーを作りステータスの証明になる
- カード盗難紛失や不正利用補償がつく
従来のクレジットカードと同じメリットもありますが、1つずつ詳しく見ていきましょう。
メリット①:キャッシュバック報酬が暗号資産でもらえる
最大のメリットは、キャッシュバック報酬が暗号資産でもらえることです。
この方式の場合、クリプトカードを使うときに指定した暗号資産の還元が基本になります。
ポイントや法定通貨の還元との違いは、暗合資産の値上がり期待値が高いことです。いつもの買い物で使うクレカをクリプトカードに変えるだけで、資産価値のある暗号資産が自動で貯まっていきます。
2022年10月現在、ドル円が150円に到達間近で、200円までの上昇を覚悟する円安時代に突入しています。
日本円の価値がさらに低下する事態にそなえて、還元ポイントを暗号資産に置き換える対策も有効です。
メリット②:サブスクを割引価格で利用できる
2つ目のメリットは、サブスクサービスの料金を割引できることです。
クリプトカードの利用者を増やすための方法として有効なようで、ネットフリックスなどの人気サブスクサービスと提携する暗号資産(仮想通貨)取引所が表れてきています。
暗号資産のみをPRしても一般の方々の心に響かないため、Web2.0で人気のサービスの力を借りる格好です。
メリット③:クリプトファッションを先取りできる
最後にお伝えするメリットが、日本でクリプトカードが一気に普及する強い動機づけになりそうです。
ブラックカードやプラチナカードがある種ファッションになっているように、クリプトカードを所有しているだけで注目を浴びるときがくるでしょう。
最近ではハードウェアウォレットをネックレスにするファッションが流行る兆しをみせています。
Ledger Nano(レジャーナノ)を複数首にぶら下げるのは、ファッションでも有り資産家であることの示す意味合いもあるでしょう。
また、ハードウェアウォレットのTrove(トローブ)はファッショ性を重視しており、リストバンド、ネックレス、ブローチといった3種類のアクセサリーに磁気的に取り付けることができるオプションが用意されています。
NFTコレクターでもある関口メンディーさんがクリプトカードの使い方などをツイッターで発信したら、20代を中心にユーザーが激増するのではないでしょうか。
暗号資産クレジットカード 2つのデメリット
12個もあるメリットをご紹介しましたが、暗号資産クレジットカードも良いことばかりではありません。
- リボ払いや分割払いは手数料がかかる
- キャッシングは金利がかかる
いまのところ普通のクレジットカードと同じ2つの金銭的なデメリットのみが考えられます。
ちなみに、日本で唯一ビットコインが貯まるbitFlyerクレカは上記サービスを提供していません。
暗号資産クレジットカード 4つの注意点
デメリットに加えて注意点をきちんと知っておくことにより、お金のトラブルに巻き込まれる心配もなくなります。
- 暗合資産の価値が変動する
- 日本円への意識が低くなり無駄遣いする
- カードによっては年会費がかかる
- 決済した時点で課税対象になる
4つの注意点について、1つずつ解説します。
注意①:暗合資産(仮想通貨)の価値が変動する
クリプトカードで正しく知っておくべきことは、日本円に対する暗合資産(仮想通貨)の価値が常に変動していることです。
米ドルに対して日本円の価値が変わるように、日本円に対する全ての暗合資産の価値が日々刻々と変化しています。
そして、暗合資産の価格の動きは米ドルなどの法定通貨より変動率が大きくなります。
そのため、10日前まではリップル(XRP)20枚でランチできたのに、今は25XRPないと同じランチが食べれないことも有りえます。
後ほどの税金対策でも説明しますが、ステーブルコインを保有することで、価値低下のリスクを避けることができます。
注意②:日本円への意識が低くなり無駄遣いする
2つ目の注意点は、日本円への意識が低くなり、ついつい使いすぎることです。
日本の主要通貨がビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)に換われば気にする必要はありません。
日本で暮らす限り日本円が経済の血流となるため、必ず日本円に価値換算する必要があります。
決済通貨が入り交じるこれからの時代、状況に応じて暗号資産を使い分けていくことで大きな節約につながるでしょう。
注意③:カードによっては年会費がかかる
3つ目の注意点は、クリプトカードによっては年会費がかかります。
例えば、bitFlyer Platinum Cardは高いステータスを証明できる代わりに、年会費が16,500円かかります。
もちろん、空港ラウンジの利用やショッピング保険をはじめ数々の優遇を受けられます。
ちなみに、カードショッピング年間150万円以上で年会費が無料になります。
クリプトカードに付帯するサービスコストは従来のクレジットカードと同じと考えてよさそうです。
注意④:決済した時点で課税対象になる
最後の注意点は、クリプトカードで決済した時点で課税対象になることです。
決済時に指定した暗号資産(仮想通貨)が、取引所で購入した時点よりも値上がりしていたときに税金がかかります。

課税については従来のクレカにない注意点のため、税金がかからない方法を含めて以下で解説します。
税金がかからないように暗号資産クレジットカードを使う方法
暗号資産クレジットカードを使って税金がかかるのは、決済した際に利益が発生した時点です。
先に結論ですが、利益が発生しない暗号資産(仮想通貨)を保有してクレカ支払いに充てることで課税を避けられます。
具体的には、ステーブルコインを購入して暗号資産クレジットカード用に保有する方法です。
ステーブルコインとは日本円や米ドルなどの法定通貨と価値が同じになるように設計された通貨※で、USDTやUSDCが該当します。※ペッグ通貨と呼ばれます。
市場では1USDT = 1USD、1USDC = 1USDが保たれ価格の変動が極めて少ないので、国を問わず法定通貨への換金に適しています。
ステーブルコイン以外の場合、決済時に利益が発生すれば税金はかかりますが、価格が下がっていれば多くの枚数を支払わなければいけません。
そのため、ステーブルコインは法定通貨と暗合資産の橋渡し役としても重要な役割を果たしています。
クリプトカードを使ったときの税金の計算方法
日本では暗号資産(仮想通貨)で得た利益は雑所得に分類され、総合課税が適用されます。
クリプトカードで決済した時の税金の計算方法を確かめておきましょう。
例えば、ビットコインを275万円/BTCで購入してクレカ用に保有しておき、お店での支払い時に300万円/BTCに値上がりしたときの課税対象は次の計算になります。
課税対象 =(300万円 - 275万円)× 決済に使用したBTC数量
仮にレストランで家族4人で10,000円分の夕食をとりビットコインで支払った場合、以下の利益に税金がかかります。
課税対象 = (300万円 - 275万円)× (10,000円 ÷ 300万円)= 833円
レストランで暗号資産クレジットカードを使った時点で833円の利益が確定するとともに、税金がかかることになります。
暗号資産クレジットカードに関するよくある質問
ここからは暗号資産(仮想通貨)クレジットカードについてよくある質問と回答をまとめます。
暗号資産クレジットカードの審査基準は厳しいですか?
ランクに応じて審査の厳しさが変わります。暗号資産クレジットカードも信用に基づいて発行されため、年収や個人情報、クレジットヒストリーを調べられます。
ただし、取引所が発行するクリプトカードは保有する暗号資産の分だけ使えるデビットカードにあたるので、取引所の審査基準に準じます。
保有する暗号資産以上に支払うことができないため、日本で提供される際にも発行にあたっては簡単な審査で済むと考えられます。
不正利用されるリスクは今までのクレジットカードよりも大きいですか?
今までのクレジットカードと同じく不正利用されるリスクは拭えません。ただし、多くはカード番号の登用被害であることから、券面の番号を見られないようにする、信頼性の低いWebサイトや店舗で利用しないなどの基本的な対策でリスクをほぼ0にできます。
また、FTX USが世界展開していたFTX Visaデビットカードには券面にカード番号・有効期限・セキュリティコードが表記されていません。他の取引所もナンバーレスのクリプトカードが主流と考えられるため、従来の不正利用では被害は大幅に減少していくと考えられます。
暗号資産クレジットカードで将来の通貨の切り替えに備えよう
ここまで暗号資産(仮想通貨)クレジットカードの全体像を見ていく中で、暗号資産の普及とともに、従来のクレジットカードから切り替わっていくことまで想像できたのではないでしょうか。
クリプトカードのメリットはもちろん、デメリットや注意点を正しく知っておけば、お金に関する問題を抱えるリスクが少なくなります。
日本ではビットフライヤーが国内初※のビットコインが還元されるビットコインカードを発行しました。
※ 株式会社ショッパーズアイ調べ
調査方法:国内に於ける暗号資産付与のクレジットカード展開状況に関するデスクリサーチ及びヒアリング調査(2021年10月8日~20日)
調査対象:金融庁HP「暗号資産交換業者登録一覧」31社(2021年10月4日時点)
暗号資産の投資家がいっきに申し込んだものの、やはり一般の人々には浸透していなのが現実です。
ビットコインをはじめ、暗合資産の価値は高まり欧米の機関投資家が主要銘柄を中心に長期投資を開始しています。
人生100年時代における資産運用の一貫として、暗合資産(仮想通貨)クレジットカードを賢く使いこなしていきたいですね。
なお、暗号資産クレジットカードのおすすめ人気ランキングを随時更新していくので、宜しければご覧ください。